ルキノ・ヴィスコンティ監督作、カミュの『異邦人(L'Étranger)』(1942)の映像化作品。アルジェの人々がイタリア語を喋喋するのには違和感を覚えるが、多感なイタリア人の中にあっては、心ここに在らずのムルソーの異端さが際立って、反って良いかも知れない。 ムルソーと私の共通項がある。それは昔は情熱を持っていた、だが歳月を重ねる裡にそれは雲散霧消し、今や惰性で生活しているという点である。私に対して「まだ若いのに」と説教をする人間がある。若い人は、夢なり女なりに情熱を燃やして、活動家であることが社会通念だという訳だ。 私とて野心を持って社会に関わっていく人々を羨ましくは感じているけれども、情熱…